『怖い』けど『怖くない』ハナシ
新年初投稿となります。
冬休みで少し感染症が落ち着いたと思っていましたが、休みが明けて改めて色々な感染症が拡がっています。インフルエンザも相変わらず多いですね。。。
みなさまもお気をつけください。それにしても時間の流れは早いですね。。。あっという間にブログの更新間隔が空いてしまいました。。。
さて今日は、小児科外来での「予防接種あるある」をひとつ。
多くの子どもたちにとって予防接種は、非日常的な試練です。今日は注射をするぞ、と心に決めて来院した子も、いざ接種しようとすると「怖い!怖い!怖〜い!やっぱりイヤだ〜〜〜!」となります。その様子を見た親御さんたちはみな口を揃えて「大丈夫。怖くないよ!みんなやってるんだから」と声かけをします。
しかし、この声かけで子どもが納得して落ち着いた、なんてことはまずないですよね。。。
また「怖い」ということと絡めて、私がプライベートで経験したもう一つ別のエピソードを紹介します。
公園で遊ぶひと組の親子が、たまたま私の目に留まりました。年は4〜5歳くらいでしょうか。滑りたい思いで自ら滑り台に登ったのですが、いざ滑ろうとすると怖くなって滑れなくなっていました。そして、滑り台の下にいたお母さんに「ママ、怖いよ〜」と叫んだのです。その時のお母さんの子どもへの声かけが、とても印象的でした。
多くの親は「みんな滑ってるし、怖くないよ!●●もやってみれば?」なんて言いませんか?
でもそのお母さんは違っていました。笑顔でこんな声かけをしたのです。
「大丈夫。怖いだけだよ!」と。
これは私もビックリするのと同時に「確かに!」と納得してしまいました。そして子どもは躊躇しながらも高い滑り台から滑ることが出来たのです。滑り終わった子どもは目を丸くさせながら、笑顔でこう言いました。
「本当だ。ママの言った通り、怖いだけだった!」と。
私たちは、経験したことがないことに直面すると「怖い」という恐怖心が生まれます。
これは本能的なもので、誰しも逃れることが出来ません。そして多くの人がこの恐怖心をかき消そうと努力をします。しかし、このお母さんは違っていました。
「怖い」という子どもの気持ちを否定せずありのままを受け止めて、その上で「大丈夫。怖いだけだよ。」と声をかけたのです。
私たち大人はたくさんの経験を積み重ねることで「あの日怖かったこと」が実は「あまり怖がる必要はない」ことを理解しています。
でも経験の少ない子どもにとっては「怖いもの」はやっぱり怖いのです。
あのお母さんも、高い滑り台をすべる怖さはきっと知っていたはずです。同時に、その怖いを乗り越えた先に「怖いけど意外に楽しい」が待っていることも知っていたのだと思います。
それを子どもに伝えたのです。
子どもだけでなく私たち大人にも、新たなチャレンジをするときには、必ず恐怖心が生まれます。私自身もクリニックの独立開業は、楽しみであると同時にとてもとても大きな「恐怖心」がありました。もちろん今でもあります。でも私も、あのお母さんと同じく「どうなっても死ぬわけじゃない。ただ単に『怖いだけ』だから、きっと大丈夫」と自分に言い聞かせています。そうして毎日を積み上げてきたからこそ、「ドキドキしながらも最高に楽しい今」があります。
私は、たくさんチャレンジをしてたくさん失敗して、それら全てを最終的に笑顔に変えていけるまでチャレンジし続けられる「オトナ」でありたいです。
そういうオトナの一見カッコ悪い姿をみて、子どもたちも思い切ってチャレンジできるのだと思っています。
私のクリニックコンセプトは「親と子どもに『スマイル』を届ける」です。
何歳になっても、怖さを受け入れながら、新しいことにチャレンジしていく『オトナのスマイル』を、子どもたちに届けたいと思っております。
私のスマイルには「怖さ」がたくさん混じっています。
「怖さ」がたくさん混じれば混じるほど、いいスマイルになると思っています。
皆さんも私と一緒にたくさんの「怖い」を楽しみませんか?